2016年12月3日土曜日

【PGConf.Asia】 チュートリアルセッション序文

今、ユーザーコミュニティたる我々が発信していくべきことは何かと考えると、初めの一歩を踏み出す人を後押しすることではないか。などと唐突に書いてみる。
この投稿は、2016年12月3日 PGConf.asiaチュートリアル枠について書いた非技術的な話です。

■これまでのPostgreSQL勉強会


過去数年、日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)で開催した「初級者向け勉強会」は、それでもデータベース経験者というか実務で扱ってる人を対象にした、バックアップ入門、チューニング入門などなど、すでにデータベースに興味を持ってる人が知識を整理し、中上級者になるとか・実務を担当できるようになるという方向性であったように思う。
それはとても良いことで、ある話題の最低限を1コマに凝縮しモジュール化した講義内容は再利用できるし、そのテーマで調べた人がたどり着いて利用するのにもっともよい形になっていると思う。
それらは今でもスライド資料+録画が公開されていて、利用したい人の需要にこたえることができる一つの方法として価値あるものを提供できていると思う。
(コミュニティの場で発表することは、発表者にとっても、苦労に対してメリットが非常に大きく、知識を整理したことで自身がレベルアップできることはもちろん、そこでの経験は仕事の評価につながったり、転職活動に明確に有利になったりする。)

上級者向けは言わずもがな。中国地方DB勉強会とか、Database Loungeでは、新機能やデータベースの新たな領域での活用という話が繰り広げられている。特にこれまでにそのレベルに達している人(≒既にその製品・分野の勉強してきた人)にとってもう一歩先の話はとても興味深く、自慢の機能を作った開発者と、新しいことを得たい受講者の需要と供給が一致して半端ないエネルギーを生んでいるように見える。

■苦労を伴う初心者育成


良い意味で勝手に回っていく上記のような話とは違い、初めの一歩を踏み出す人に向けてスキルを伝えていくことは、双方に努力が必要な話である。どちらかが話を持ち掛けて、相手に努力を強いることになる。

  • 経験者が「○○は大事だから絶対勉強しとくべき」とか、「俺が教えてやるよ」なんて非常に上から目線すぎる話だけど、本当に大事な技術はそうでもして伝承していかないといけない。それにつきあって新たなことを学ぶ初心者の苦労は相当のものかもしれない。
  • 初心者が「わからないので教えてよ」って言うのは、有能で成果を上げてる経験者の時間を消費することで、若気の至りにしたって厚かましいかもしれない。そのために時間を割き、経験値を形に変えて教えてくれる経験者の損失は実は計り知れない。その上、わかりにくいと叩かれたりする。

苦労のデッドロックである。(上手いこと言った。←)


それでも、長い目でみたら製品の利用者が増え、知の総和が増え、製品クオリティの向上にもつながるし、各個人はそこでなければ得られなかった技術領域を習得し、個としてのバリューを発揮できるようになる。
”生み出したい価値” と ”育成に費やすコスト” を天秤にかけて、結果、技術力をものにできたところが最終的に勝つのだと思う。それをお金と上司命令で実現するのが企業だとしたら、我々コミュニティがやるべきことは何か。
お金と苦労の等価交換ではなく、自分がこれまで経験した楽しさを喜んで人に伝えるとか、コミュニティで得たものを還元するとか、そういう気持ちが原料になってデッドロック状態を解放することができるのがコミュニティなのだと思う。

■さて、自分にできることは


ということを意識しはじめた今年の6月、このブログをはじめた。(更新サボってるけど。それでも死んではいない。)自分がコミュニティの中の人として何ができるか、何を発信できるかを考えてきた結果の一つが今回のチュートリアルになった。
この文脈から、「教えてやるよ」と言っちゃってるようなものなんだけど、自分のコンプレックスでもあるプログラミング経験のなさとかは世の技術者と比べたら一目瞭然で、「出来ることは教える、出来ないことは教えてもらう」を体現できる存在として、自分が、JPUGが、誰かが一歩踏み出すお手伝いをするのだ!と決意をもって始めるのである。

っていうか、これまでのJPUGの構成員は何から何まで優秀すぎるっていうか。だからこそ学ばせていただいたことがめちゃくちゃあるんだけど。
このチュートリアルを実現できたことをきっかけに、イチ庶民として、やれることをやっていきたいと思います。

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